アジア二次予選 イラン(H)

 
すでに予選通過も決まって、本戦に影響の無い首位争い。
イランの方もそれなりなメンバーで、東アジア選手権とあまり代わらない位置付けの試合。
 
[スタメン]
     玉田   大黒
       小笠原
三都主 遠藤 福西  加地
    中澤 宮本 田中
        川口
 
東アジア選手権での全とっかえ選手が入っていない。
使わせるようなパフォーマンスも見せていないし、一番活躍した田中も怪我で代表辞退しているし、まあ妥当な面子かな。
サブには駒野・茂庭・今野・巻・阿部と新入組が入っているので途中交代で出てくる確率は高いと思う。村井がサブに入っていないのは残念だが。
 
[前半]
珍しいキックオフのやり直しを経て試合開始。
新入組のプレッシャーを感じているのか、玉田が無理目のチェシングを見せる。
5分、川口からのロングキックを右サイドでイラン選手がトラップミス。小笠原が素早く奪い取り、的の逆側に切り替えしたところ、相手は前方スペースを埋めていて(ドリブル警戒)距離がある。
イランDF陣が小笠原を見てしまっていて、中央に走りこんだ大黒がフリー。
当然のごとくDFを越えていく浮き球がピタリと合ったが、トラップしたところでオフサイドの笛。
スローで確認するとギリギリオフサイドではなかったが。
9分、中盤を抜けてくるイラン選手が中を切られて、サイド方向にドリブルが大きくなったところを中澤がDFラインから飛び出してインターセプト。そのまま左サイド方向に開いていって出したパスは敵に当たってスローイン。中澤はなんかもの凄い選手になったなぁ。
11分、左サイドからのロングボールを大黒がペナ前中央からヘッドで右に落し、反応した玉田がのファーストタッチペナルティエリア内。胸トラップで落としたボールを至近からシュートするが、GKに当たって跳ね上がる。その落下地点で玉田・大黒が重なってしまい、玉田の窮屈なトラップは敵2人に纏わり付かれ、蹴りだされてしまう。
続いて12分、三都主アーリークロスに慌てたイランDFがヘッドで外に出して、CK。
小笠原が蹴って、中澤競って左サイドに浮き上がる。
これをトラップした玉田がゴールライン近くまでドリブルし、ニアの狭いところを打ち抜くシュートを放つが、GKの手一本で弾かれ、イランDFのオーバーヘッドクリア。
そのクリアボールを繋ぎ直し、遠藤が中央にドリブルで切れ込む姿勢を見せて、ペナ前の大黒へパス。これをダイレクトで反転シュートするが、GKがはじき出す。
そのCKのクリアボールを三都主が敵陣中央で拾い、左サイドに開いていた玉田を使って壁パスでペナルティエリアに侵入。ゴールライン付近まで切れ込んで中にグランダーパス。大黒が反応して飛び込んできていたがGKのセーブに合った。
頼もしい波状攻撃が続いている。
18分、クリアのパスを受けた玉田が、6番ネコウナムともつれるが、うまく体を入れて前へ出たところを後ろからスライディングを足に入れられて転倒。ネコウナムにイエローが出た。
22分、相手の適当な浮き球を福西が胸トラップでカット。センターサークルの小笠原にパス。
小笠原はまた後ろにボールを動かすトラップで敵との僅かな距離を作ると、ペナ横右の大黒へ正確なロングパス。大黒は右から無理にシュートを打ったが、角度が無さ過ぎて枠を外れる。
中には玉田もいたのだが。それにつけても小笠原の素晴らしさよ。
27分、福西が浮かしてしまったボールをハーフラインでトラップした小笠原。敵が当たりにこなければまたも高精度のパスが前線に出る。左サイドで玉田が受け、ペナ横からクロス。大黒が反応するが合わせきれずに流れたところを走りこんだ加地がドフリーで易々と決めてゴール。
優勢な展開から必然の1-0。
この一連のプレーでイランGKが痛む。治療の時間が取られるが望む所だ。
思い出すなぁ、ジョホールバル
この後は日本優勢のまま時間が過ぎる。三都主の綱渡りファールショーといった感じ。
43分、イラン1のシュートを中澤がコースへのスライディングで防いだボールがこぼれて、アリ・ダエイの前に。鋭いシュートを打ち込まれ、ポスト直撃。跳ね返ったボールは無難にクリアできたが、老いて直危険な選手だ。
44分、宮本からのロングボールをペナ内まで追った玉田がワンバウンドをダイレクトシュートするがシュートコースを防ぐように飛び出してきたキーパーの腹に当たる。
48分、ダエイの低い弾道のFKが外れて前半終了。
壁に宮本、中澤が入っていたのがちょっと意外。カバーと競り合いの第一人者を入れるよりも中盤の選手が入るべきだとおもうのだが。
 
[前半終了]
日本優勢。これを見ると全とっかえ組とはやはり実力に差があるな、と思う。
ボランチからきちんと展開されるし、小笠原がボール持った瞬間に詰めなきゃ必ず危険なパスが前線に飛ぶし。後ろでのボール回しも安定している。
本山を入れるとかなり効きそうだが、若手の経験を優先させるか。
こんなにいい状態の選手を下げてテストというのは、選手的には納得のいかないものだし、後半もかなり過ぎてからの交代になるんじゃないかな。
 
[後半]
立ち上がりからイランは2枚一遍に替えてくる。
FW25番のボルハニ→MF7番カゼミアン。
MF17番ジャバリ→MF23番モバリ。
投入された選手はともにアテネ代表世代とのこと。だからといって日本も若手を使えといったらそこは笑うところだ。
日本攻勢で、イランがしのぐ展開のまま、8分。
三都主がポーンと敵DFの裏に出したロングボールに大黒が反応。
敵DFと競り合いながらペナルティエリア内でのバウンドをボレーシュートするが相手に当たってしまった。そのカウンターでポストのダエイから左サイドのスペースに出されてしまうが、三都主が全力ダッシュで追いついて、センタリングの上げ際をクリア。
12分、スローインを迷っていた加地に遅延でイエロー。
15分、イランも日本ゴール前に迫る回数が増えてきた。その攻撃をカットしたところで小笠原が自陣で敵を背負ってボールを受ける。圧し掛かられながらもボールを動かし、チョイといった感じでロングキック。これがまた右のオープンスペースに的確に飛び、大黒がボールを受けて中に切れ込んでファーにDFを越えていく絶妙の浮き球。玉田が無理目のダイレクトジャンピングボレーであわせるが、体が流れすぎていてボールは枠を越えて飛んでいく。
スローで見るとイランDFが伸ばした手をかすり、ボールが脛に当たってしまっていた。
イランに攻めさせるも安定して跳ね返している展開が続く27分。MF11番のニクパクトに替えてDF28番のモニエイ。どうしても追いつこうという交代ではないようだ。
日本は別に交代を必要としてないから困ったもんだ。枝豆を食らってビールを飲んでるような視聴者としては巻くらい入れてもいいじゃないかと思う。玉田も大黒も悪くないが、ヘッドで競れる選手が入れば選択肢も増えるし。
29分、敵陣中央でロングボールを受けたドフリーの三都主が激しい切り替えしから強烈なシュート。素晴らしい無回転の低いシュートだが、GKに防がれる。
そのCK。三都主の鋭くカーブのかかったボールを大黒がニアでヘッド。イラン13番がクリア、GKに当たって跳ね返ったのを先ほどの13番が座りながら手でクリア。ばたつくボールに両方の選手が殺到してけりあいになったところでゴールの笛。GKに当たっての跳ね返りがゴールラインを割って入っていた。2-0と突き放した。
その再開から、イランが日本ペナ前であわただしくボールを回す。日本のDF陣も集中して対応していたのだが、ボールを戻してからの左サイドの突破にやや振り切られ気味でクロスを許す。
カーブがよくかかったボールは宮本のヘッドをすり抜け、ダエイと中澤の所に届いてしまう。
中澤は抱え込むように背中側でのディフェンスを強いられたところで倒れ、ファールをとられてイエロー。PKを与えてしまった。
蹴るのはそのダエイ。完璧なキックで決められて35分に2-1。
さて、交代を入れるような展開になった訳だ。
37分、遠藤に代えて今野。攻撃時に間延びし、クリアボールを拾えていない。その間を埋めることを期待したい。
41分、右からCK。ファーの福西からニアに絶好の形で折り返すが、待ち構えていた大黒と走りこんできた中澤がかぶってしまい、大黒のヘッドは枠を外れる。
43分、玉田に代えて阿部投入。あとは守るだけか。その中で阿部に何ができるか。今野はそれなりに守備で顔を出しているが。
このゲームの切れている間にDF4番のゴルモハマディにイエロー。異議をしつこく唱えたらしい。
47分、川口からのスローを受けた加地がハーフライン手前からペナ前のスペースにボールを送る。大黒が流石の反応で抜け出して必死に追うが、流石にこの時間帯では走り負ける。
そして今野がコーナーフラッグ付近で必死にキープしてファールを取られるも、そのFKを蹴ったところで試合終了。
 
[試合終了]
やや飛ばしすぎのオーバーペースだったが、そのおかげで2点を取り、その後もしっかりと集中してPKの1点で守って、点差以上に安定した試合運びで勝利。
今野は持ち味を生かせる時間帯に投入されて、守備での顔出しでしっかりと特徴を出した。
阿部はまあミスはしなかったね、と。
展開的に巻・茂庭は出番無し。駒野は入れても良かったが、展開のつたなさを思えば鉄人な加地さんに任せても良し。村井がいても出番があったかどうか。
小笠原の替わりになる選手が入ればでられたのだろうが…。
東アジア選手権で危機感を煽られたお兄さん組の自力勝ちといった感じ。